前回は、第二回の国家試験対策として、「航空法規の目的」として3つのポイントを紹介しましたね。
ただ、国家試験に頻出するのでしっかりと復習してみてください!
特に、航空法第一条は、暗記できるくらい何度もお願いしますね。
国家試験は、暗記が多いですね。。。
ただ、皆さんが今後パイロットとして飛んでいくと「あ~、そうだったか。納得!」となる時が必ずくるので、それまでは、とりあえず覚えておくだけでも心配ないですよ!
それで、、、前回までで、なんとなく「航空法の目的」に関しては、理解できたんですが、そもそも航空法って、ほかの国でも同じなんですか?
だって、飛行機は、ニューヨークにも上海にも行きますよね?
まだ、国際航空法規に関して、お話しできてなかったですね。
本ブログは、10年間のパイロット経験を積み重ねてきた筆者が、「誰でも飛べる」をモットーに将来パイロットになりたい学生に向けて発信しています。
改めて皆さん、こんにちは。
ということで、今回のテーマ「国際航空法規の歴史と3つの重要条約~第二次世界大戦まで~」に関してお話ししていこうかと思います。
まずは、第一回のレビューも兼ねて、航空法第一条を見てみましょう!
第一条の冒頭には、以下のようにありましたね。
「この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、・・・」
冒頭部分をご覧いただけるように、日本の航空法は、「国際民間航空条約」というものがベースになっていました。
だから、締結国である日本の航空法は、この条約に準拠して策定された。
つまり、日本の航空法のお手本が、この条約になっている感じですかね。
それでは、前置きが長くなってしまいましたが、
日本の航空法が国際民間航空条約という国際的な取り決めをもとに策定されたことが理解できたと思うので、
今回のテーマ「国際航空法規の歴史と3つの重要条約~第二次世界大戦まで~」に関して解説していきたいと思います!
最後まで一緒に頑張りましょう。
航空機の誕生と国際ルールの必要性
1903年、ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功しました。それから僅か10年ほどで、航空機は驚くべき進化を遂げたんです。1910年代には早くも国際飛行が始まりました。
国際飛行には新しいルールが必要になりました。
そこで生まれたのが、以下の3つの重要な条約です。
- パリ条約
- ワルソー条約
- シカゴ条約(国際民間航空条約)
以下では、この3つの条約に関しては、詳細を見ていきましょう。
パリ条約
1919年、フランスのパリで締結された条約なので、パリ条約と言われますが、正式名称を「国際航空に関するパリ条約」といいます。
1914年に第一次世界大戦が勃発すると、飛行機は国際間での運航が活発化し、貨物輸送だけでなく、軍事的にも使われました。
この国際間飛行により、領空権の問題が現れたことが策定の背景になります。
パリ条約は、国際航空のための最初の大切な条約(約束事)なんです。
- 各国の空の主権を認めた
- 国際飛行の基本的な権利と規制を定めた
- 航空機の登録や識別方法を決めた
- 安全な運航のための基準を作った
パリ条約は、いわば「空の交通ルール」の第一歩。
これがあったからこそ、国際的な飛行が可能になったんですね。
ワルソー条約
次は1929年に制定された「ワルソー条約」。正式名称は少し長くて「国際運送についてのある種の規則の統一に関する条約」といいます。
1920年代には国際航空運送事業が盛んになり、旅客や貨物の運送に関する権利や義務、運送条件を統一する必要が出てきた時代背景があり、策定されました。
- 運送約款の統一
- 航空会社の責任範囲と賠償額の最低限度を決定
- チケットや運送状の記載事項を定めた
- 事故の際の請求方法や訴訟手続きを規定
この条約は、航空運送業者(航空会社など)と乗客、貨物の送り主との間の権利と義務を明確にしました。
今でも航空事故時の損害賠償に関する国際的な基準の一つとなっています。
国際民間航空条約(シカゴ条約)
最後は、冒頭でもご紹介した、日本の航空法のベースになってもいる「国際民間航空条約」。
1944年に、アメリカ合衆国のシカゴで開催された民間航空に関する国際会議で締結されたことからシカゴ条約とも言われますが、正式名称は「国際民間航空条約」で、ICAO条約とも呼ばれています。
第二次世界大戦末期、国際航空の新たな秩序を確立するため策定されました。
- 各国の空の主権を再確認
- 国際民間航空機関(ICAO)の設立
- 航空機の登録や運航許可の規定
- 航空交通管理や安全管理の基準作り
- 国際航空の手続き簡素化
この条約は、現代の国際航空のルールブックとなっており、世界中のほとんどの国がこの条約に従って、自国の航空法や施設を作っているんです。
まとめ
それでは、今回の内容を軽くレビューしていきましょう!
今回は、航空法第一条にある「国際民間航空条約」に絡めて、第二次世界大戦前に成立した三つの主要な国際航空法規ついて解説しました。
- 1919年
- パリ条約:
- 各国の領空主権と航空機の国籍・登録に関する基本ルールを定めました。
- 1929年
- ワルソー条約:
- 航空運送業者と旅客、貨物の送り主との間の権利と義務を明確にし、航空事故時の損害賠償に関する基準を提供しました。
- 1944年
- シカゴ条約:
- 国際民間航空機関(ICAO)を設立し、国際航空運送の技術的・経済的側面を規制しました。
総じて、第二次世界大戦までの条約策定は、戦争による航空技術の発展や輸送需要の拡大が強く影響していたことが分かるかと思います。
残念なことではありますが、民間航空は戦争とともに軍事化し、栄えたり衰退したりしたんですね。
終わりに
今回紹介した条約は、国家試験対策として役に立つだけでなく、今後、皆さんが国際線を飛んでいく際にも重要になってきます!
繰り返しにはなりますが、航空法は私たちの安全を守るために不可欠なものです。
訓練生の皆さんは、今のうちに国際航空法規の基本をしっかりと学び、パイロットとしての知識を深めることを頑張ってみてください。
次回の記事では、「第二次世界大戦後に国際航空法規がどのように作られていったのか」に関して解説します。こちらも是非チェックしてみてください!
それでは、また、次回。Good Day!
【補足説明・注釈】
- 領空権:各国が自国の領空(領土および領海の上空)に対して持つ主権のこと。
- 航空機の国籍:航空機がどの国に登録されているかを示すもの。
- 損害賠償:事故などで生じた損害に対して支払われる金額のこと。
- ICAO:International Civil Aviation Organization(国際民間航空機関)の略。
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