パイロットの勉強法とは?<br>【今すぐ実践できる3つの法則!】

スカイ先生
こんにちは、南雲君!
今日もよろしくお願いします。
南雲
こんにちは、スカイ先生。
パイロットになるためには、どんな勉強方法を意識したら良いですか?

今回は、よくパイロット志望の方から寄せられることが多い
パイロットになるための勉強法
について、元エアラインパイロットであるスカイ先生が解説していきます!

この勉強法は、私達パイロットが訓練期間中、教官に徹底させられた勉強法です。

もし、皆さんが「いつか空を飛びたい」と思っているのであれば、
いずれ必ず役に立つことをお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

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本ブログは、10年間のパイロット経験を積み重ねてきた筆者が、「誰でも飛べる」をモットーに将来パイロットになりたい学生に向けて発信しています。

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学生時の勉強法を思い出してみた!

学生の皆さん、そしてこれから航空学生という道を歩もうとしている皆さん。

思い出してみてください。


昨日、どうやって勉強していましたか?
もしくは、普段どのように勉強することが多いですか?

【質問】よくする勉強法は?

①参考書を一人でとことん自習
②学校や塾に行って、先生に聞きながら
お友達と和気あいあいと議論しながら
④その他


これまでの人生で、
受験勉強、期末テスト、単語テスト・・・と何かしら勉強する機会はあったと思いますが、①〜④のどれを選ぶ時が多かったでしょうか。

私自身が学生だった頃を思い出してみると。。。


元々勉強が大の苦手で、ほとんど勉強をやってなかったというのが本音ですが、
どちらかというと①や②が多かった気がします。ただ、③に関しては、皆無でした。

一念発起してパイロットになるために勉強を頑張り始めた高校生の時も

  • 試験直前に教科書を頭に叩き入れて、徹夜で頑張るぞ!
  • 塾でかっこいい解法を教えてもらって、偏差値をあげよう
  • こっそり先輩に過去問をお願いしてみよう
  • みんなが遊んでいる間に勉強するぞ

と、思い返せば今とは180度違う考え方をしていました。
(どう違うかは、最後に記述します。)

残念なことに学生の勉強は、試験が目的です。

試験では、順位が出て、合格できるのは上位○人といった世界なので、
勝つか負けるかという殺伐な競争とも言えます。

このような環境では、
1人の方が集中できる
みんなで勉強したら会話に夢中になってしまう
という理由から、1人で黙々と勉強をする人が多いのではないでしょうか。

一方で、
これから紹介するパイロットが「徹底させられた勉強法」は、
学生の時の勉強法とは少し違います

スカイ先生
訓練開始当初は、学生の勉強法から抜け出せなくて、苦労しました。

訓練で徹底させられた勉強法!?
パイロットの勉強法3拍子とは

パイロット訓練生1年目の勉強内容
  • 国家試験に必要な科目
    1. 気象
    2. 航空法
    3. 管制方式
    4. 航空力学
    5. 航空機システム
    6. 航空生理
    7. 航空用の地図(チャート)読解法など
  • 航空管制に必要な英語力の習得(航空英語能力証明)
  • 航空無線を使用するために必要な免許の取得(航空無線通信士)など

ご覧いただいたように、
パイロットが学ばないといけない内容はとても膨大です。
しかもシラバスで決められた短期間でこの内容を学び、審査や試験に合格しなければなりません。
普通に考えたらものすごく難しそうですよね。

しかし、安心してください。訓練は、皆さんが想像するよりもかなり効率的に進められます。

その秘訣が、今回紹介するパイロットが大切にしている『ある勉強法』です

スカイ先生
「学生の勉強法」と「パイロットの勉強法」がどのように違うのか、ぜひ感じ取りながら読み進めてくださいね!

それでは、冒頭の質問に戻ります。

【質問】よくする勉強法は?

①参考書を一人でとことん自習
②学校や塾に行って、先生に聞きながら
③お友達と和気あいあいと議論しながら
④その他

皆さんは、どれに当てはまっていたでしょうか?
昨日、どうやって勉強したでしょうか?

パイロットなら、圧倒的に③と答える人が多いです

南雲
なぜ③が多いのでしょうか?

なぜなら、パイロットは、「勉強法の3拍子」をとっても大切にしているからです。
その三拍子とはこのような感じです。

  1. 誰かと一緒に取り組む
  2. できないことは誰かに頼る
  3. できることは誰かに教える
スカイ先生
この3拍子は、パイロットを目指す方にとって超重要なので、ぜひ覚えてくださいね。それでは、詳しく紹介しましょう。

誰かと一緒に取り組む

先ほども書いたように、
学生の勉強は試験が目的なので、「競争」を強いられます。
ただ「勝つ」ことに集中して、自然と周りが負けてくれれば、しめしめといった感じでしょうか。
そのため、少し残酷かもしれませんが、
キツくて諦める人が出てくるのを横目に、1人でコツコツと取り組むことが大切です。

一方で、
パイロットの審査は資格試験と同じで「70点以上は全員合格!」といったように、

絶対評価が基準です。

つまり競争は一切ありません

もちろん、他の試験と同じように1人で受験することに変わりありませんが、
たとえ試験で最下位だとしても基準を満たしていれば、合格は合格。

だからこそ、同じ目標に向かって一緒に頑張る仲間を蹴落とす理由は一つもないのです。

スカイ先生
ドラマ ミス・パイロットでは、「全員合格!」が合言葉でした
南雲
学生の受験競争とは全然違いますね。
スカイ先生
はい。そうなんです。
ここで、実体験を一つ紹介しましょう。
体験談

私の訓練同期に勉強が抜群にできる者がいました。

彼は、いつも1人で勉強をやって完璧な結果を残していましたが、
決して教官からの評価は高くなかったのです。

なぜなら、
優れた才能があるのにも関わらず、同期のことをほったらかしにして、
誰も頼らない誰からも頼られていなかったからです。
まさに一匹狼状態です。


私は教官から
「しっかりみんなに溶け込めるようにしてやってくれ」と頼まれていました。

そんなある時、彼はフライト審査で不合格を取りました。


今までパーフェクトにやってきて、審査に向けて可能なことは全てやった彼にとって、このことは大きな関門でした。


なぜなら、
不合格をとった時、
普通は同期・先輩・教官にアドバイスをもらいに行きますが、
我が道を突き進んできた彼にとっては、
そんな普通のことでさえも出来ませんでした
人に教えを乞うことを知らなかったのです。

ここで初めて、
自己流でやってきて、教科書にばかりあやかりすぎた弱点が露呈されたわけです。

スカイ先生
訓練では、誰もが一度は大きな試練にぶち当たります。
そこで、どう動けるかということがとっても大切です。誰かと一緒に頑張ることで、テクニカルな面だけでなく、メンタル的な試練にもみんなで乗り越えていきましょう。
南雲
1人でやるのではなく、1つになってやるということですね。


できないことは誰かに頼る

パイロットは、
文系が得意な分野(規程の理解や英文読解など)と、
理系が得意な分野(航空力学や航空機システムなど)
の両方を勉強しなければいけません。

しかしパイロット訓練生といえど「何でも出来るぞ」という人は多くありません。
人それぞれ得意不得意ありますよね。

だから、できないことは1人で悩まず、
誰かにちゃっちゃと教えてもらうことが必要なんですね。

パイロット訓練生の中にもミス・パイロットの晴ちゃんみたいに、
ドンくさいけどなぜかいつも教えてもらえたり、
すぐ周りから手を差し伸べられたりする人がいます。
なんだかんだしっかりと結果も残していきます。


こういうタイプの人は、
愛されキャラや素直といった個人の性格以上に、
できないことをしっかりと分析して、人に依頼することが上手なのです。

スカイ先生
私が訓練生だった頃は、みんなで役割分担を決めて、航空法のテキスト〇〇ページまでは誰々が勉強して、みんなにプレゼンする、みたいな勉強をやってました!


できることは誰かに教える

これは、ズバリ自分がつまずいた時に助けてもらうために必要です。

ただ、「誰かに教える」ことは、
パイロットの勉強法3拍子の中でも一番難しいかもしれません。

何で、他人のために時間を使わないといけないんだよ
教官の方が知ってるんだから教官に聞けばいいだろ
自分のことで精一杯なのに、他人のことなんて構ってられない
などと大抵の人が思ってしまいますよね。

受験では、他人より自分を優先させることが当たり前の世界なので、こうなるのが通常です。

また
自分が挫折して、周りに助けられた経験がないと、人を助ける大切さは分からないものです。

だからそもそも「できることを誰かに教える」ことは、難しいのです。

実際、
初めから「自分のできることを誰かに教えてあげよう」と思っている訓練生は、ほぼいないでしょう。

しかし、
自然と自分ができることは教えてあげたいと思えるようになります。
そのきっかけは、

  • 自分は大丈夫だと思っていたが、実際は訓練でピンチになって、助けてもらったから
  • 同期が、訓練で不合格になって後悔したから
  • 大切な仲間とパイロットになりたいと感じたから

と人それぞれで違いますが、自然と生まれてくることには変わりありません。

南雲
教えてあげられることが分からない人はどうしたらいいですか。
スカイ先生
教えてあげることが、勉強でなくても大丈夫です!

例えば、私の同期には、
同期の雰囲気を明るくしたり、
先輩から情報をもらってきて同期に共有したりするなど、
小さな「できること」の積み重ねでチームに貢献している人もいました。


このように、チームに貢献するからこそ、何か困った時は、周りから助けてもらえるわけです。

いつもGiveばかりでは疲れますが、
Takeをしっかり受けられるためにも、日頃からGiveを心がけ、

チームから信頼されて、必要だと思われることがパイロットの訓練では求められます。

スカイ先生
私は、規程や航空法を咀嚼(そしゃく)して理解するのが全くできませんでした。何であんなに難しく書いているのだろうと今でも思っていますが、同期が超シンプルに教えてくれるので、助かっています。その代わりに、自分の得意な航空機システムを教えてあげています。


勉強が効率的になった理由

前章で記述したように、パイロットの勉強法3拍子は『競争悪、助け合い善』の考え方です。
そして、これを徹底することによって「訓練が超効率的になる」と書きましたが、なぜだと思いますか?

結論から言うと、

パイロットの勉強法3拍子を実践することで、

無駄(自分だけ重要だと感じている=主観的)なことをやめて、客観的にみて重要な点を中心に勉強できるようになるからです。

例えば、皆さんもこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

  • しっかり勉強した問題なのに「ここはテストにでないらしいよ」と言われた
  • 勉強した問題なのに、テストでは点数配分が小さかった
  • 先生の趣味で作った問題に、没頭して試験時間が足りなくなった
  • みんなが分からない問題は解けるのに、みんなができる問題の正答率は低い

このような経験の原因は、もしかすると
客観的にみて重要な点を見落としているのが原因だったかもしれません。

パイロットの勉強法3拍子で、勉強が効率的になるまでの一連の流れをまとめると、

パイロットの勉強法3拍子でみんなで協力して勉強する
⇨客観的にみて重要な知識や考え方を理解できるようになる
⇨選別した重要な知識や考え方を中心的に勉強を進めることができるようになる
⇨無駄な知識や考え方がなくなり、重要なところを押さえた効率的な勉強ができる

このようになります。

パイロット訓練生は、
この流れを押さえて、勉強に取り組むと効果的かもしれません。

︎パイロットにはどうして客観性が必要なの?

冒頭の質問で①を選択した方も結構いたのではないでしょうか。

もしかすると①を回答した人は、
「一人でコツコツ参考書で勉強して、いい成績を残しているタイプ」かもしれません。

学生の勉強では、一人でコツコツと勉強することが必要なので、
この勉強法で成功している人の努力は素晴らしいと思います。

一方、パイロットの訓練においては、この勉強方法が仇となってしまう可能性があります。

何故なら、大抵の人が常に一人で勉強をしていると主観的な勉強をしてしまうことが多いからです。

南雲
パイロットにとって主観的な勉強がいけない理由は何でしょうか
スカイ先生
重要な部分なので、説明しましょう!

パイロットは事故が起きた際、

膨大な情報の中から優先順位の高いものの選別(prioritize)を正確かつ迅速に行う必要があります。

この優先順位付けがうまくできてないことが原因で重大なアクシデントを引き起こす可能性も考えられます。

例えば、次のような時にどうするでしょうか。

羽田で着陸態勢に入った後に、日本近海で巨大地震が起きた。運航支援者からは「仙台、羽田、成田、中部、関西、高知、宮崎全て空港閉鎖です」と言われたが、残りの燃料は1時間分しかない、そして日本海側は停滞前線の影響で天候不良、着陸できる空港を見つけるために地上の運航支援者や管制機関と通信しようとするも混線してる。しかし、早く判断しないと着陸空港はダイバートの飛行機で溢れかえるだろう。

まず、対処法に模範解答はありません。
教科書には書いてませんし、おそらくほとんどのパイロットが経験したことはないでしょう。

しかし、パイロットは、この様なシチュエーションを日々想定して訓練や審査に備えています。

もし自分だけで対処法を探ろうとしたら、
いくら知識があろうともおそらく判断の根拠に乏しかったり、じっくりと深掘りして考えられていなかったりすると思います。
この状態がまさに主観的な勉強しかできていない状態です。

だから自分だけで対処法を探ろうとするのではなく

色々な教官の体験談同期や先輩からのアドバイスなどを根拠に、客観的に考えて何を優先するべきかを判断し、ベストだと考えられる対処法を見つける必要があります。

スカイ先生
実際に、東北大震災の時は、その数週間前に「太平洋で地震が起きたら松山空港がいいよ」と同期と話していたから、すぐに松山空港にダイバートする判断ができたという経験も聞いたことがあります。

最後に

ここまで読んできた方は、パイロットの勉強法がどのようなものか
少しずつ感じてきたのではないでしょうか。

冒頭のこの質問に関しては(あくまでも個人的見解ですが)、

【質問】よくする勉強法は?

①参考書を一人でとことん自習
②学校や塾に行って、先生に聞きながら
お友達と和気あいあいと議論しながら
④その他

①は、主観的な勉強だといえます。
②は、人を頼る姿勢は素晴らしいです。
ただ、仮に先生が一方的に話すだけなら、受け身になってしまう可能性もあります。

③は、議論しながらやっている点で、パイロットの勉強法に一番近いです。

また冒頭に、
勉強を頑張り始めた私が、

  • 試験直前に教科書を頭に叩き入れて、徹夜で頑張るぞ!
  • 塾でかっこいい解法を教えてもらって、偏差値をあげよう
  • こっそり先輩に過去問をお願いしてみよう
  • みんなが遊んでいる間に勉強するぞ

というふうに考えていたと書きましたが、今では、

パイロットとして、
偏差値という考え方は一切捨てて、
過去問をもらったとしてもみんなに共有することが正解だと考えています。
またみんなが遊んでいる時は一緒に遊んで、とにかく一緒に何かをやることにこだわります。

こんなふうな考え方に変わったと思います。

いかがだったでしょうか。

まとめ
  • 学生の勉強とパイロットの勉強は性質が違う
  • パイロットは、「客観性」を持つことで、訓練を効率的に進めている
  • 勉強法3拍子は、パイロットに必要な「客観性」を習得するための大切な勉強法である

最後に、ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。

将来、パイロットやCAになりたい
(夢はパイロットでなくても)今、勉強法に悩んでいる
そういう方は、是非一度、パイロットの勉強法を参考にして頂ければ幸いです。

今後も、パイロットのことに関して定期的にブログで発信していきますので、
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それでは、今日の記事はこれにて終了!

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