【国試対策5】必見!ハーグ条約で学ぶ7つのポイント
スカイ教官
こんにちは。
前回は、第4回国試対策として第二次世界大戦後の国際航空法 – 東京条約を取り上げました!
皆さん、まだ覚えていますか?
暁学生
はい、航空機内の犯罪を防ぐための条約でしたよね。
スカイ教官
その通り!
でも、1960年代後半になるとハイジャック事件が増えて、東京条約では対応しきれない問題が出てきました。
暁学生
じゃあ、その時どうしたんですか?
スカイ教官
そこで新しく登場したのが『ハーグ条約』です。
1970年に制定され、ハイジャック行為を防ぐためにより強力なルールを設けたんですね。
暁学生
具体的にはどう違うんですか?
スカイ教官
簡単に言うと、ハーグ条約では、ハイジャック行為そのものを犯罪として厳しく処罰することが決められたんですね。

これから、7つのポイントに分けて具体的に解説していきますね!

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皆さん、こんにちは!
スカイ教官です。いかがお過ごしでしょうか?

さて、前回は東京条約のお話をしましたよね。覚えてますか?
今回は、その後にできた「ハーグ条約」についてお話ししようと思います。

1970年にできたこの条約、正式名称は「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」というんです。ちょっと固い名前ですが、1960年代後半に急増するハイジャック事件に対処するために作られた重要な国際法(要するにハイジャック対策のための大事な国際ルール)です。

ハーグ条約は、東京条約では十分に対応できなかったハイジャック問題に特化し、より強力な法的枠組みを提供しているんです。
例えば、犯罪人の処罰や引渡し、裁判権の範囲など、ハイジャック対策に焦点を当てた具体的な規定が盛り込まれています。

それでは、どういう内容なのか、7つのポイントに絞って一緒に見ていきましょう!

スカイ教官
航空安全に関わる国際法の進化を知ることは、将来のパイロットや航空業界を目指す皆さんにとって非常に重要です。

ハーグ条約とは?

1970年、オランダのハーグという場所で開かれた国際会議で「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」、通称ハーグ条約が制定されました。

皆さんは、なぜこの条約が必要になったか想像できますでしょうか?

実は、1960年代中盤から1970年代にかけて、世界中で亡命希望者やテロ組織などによるハイジャック事件が頻発したんです(1970年には年間80件以上も発生する事態になっていました)。これには、冷戦時代の政治的緊張や、キューバ危機の影響など、様々な要因がありました。

こうした状況を受け、それまでの東京条約だけでは対応が難しくなり70年にはハイジャック行為の厳罰化を各国に求める新しいルールが必要になったんですね。

日本も1971年にこの条約を批准しています。

スカイ教官
東京条約は、ハイジャック対策に特化したものではなく、より広範な航空機内の犯罪や問題行動に対処することを目的としていました。
つまり、東京条約は、ハイジャックを含む航空機内の様々な問題に対処する最初の包括的な国際条約として重要な役割を果たしていたんですが、補完・強化するべき内容があったということですね。

ハイジャックって?

ハーグ条約の第1条では、次の行為を犯罪としています。

ハーグ条約 第一条

飛行中の航空機内における次の行為は犯罪とする。

  1. 暴力、暴力による脅迫、威嚇で航空機を不法に奪取・管理する行為
  2. aの行為に加担する行為

簡単に言えば、「暴力や脅しで航空機を乗っ取る行為」のことです。

重い罰則で再発防止

第2条では、締約国がこの犯罪行為に対して重い刑罰を科すことを約束しています。

ハーグ条約 第二条

各締約国は、犯罪行為に対して重い刑罰を科すことができるようにすることを約束する。

重い罰則があると、やっぱりハイジャックを考える人たちにとっては大きな抑止力(犯罪を思いとどまらせる力)になりますよね。

条約の適用範囲は?

第3条では、この条約が適用される場合(この条約が使われる場合)を定めています。

ハーグ条約 第三条

この条約は、機内で犯罪行為の行われた航空機(その飛行が国際飛行であるか国内飛行であるかを問わない)の離陸地又は実際の着陸地が当該航空機の登録国の領域外にある場合にのみ適用する

簡単に言うと、離陸地や着陸地が航空機の登録国以外の場合に適用されるんです。

裁判権はどの国に?

ハーグ条約は、ハイジャックに関する裁判権を広く認めました。

第四条には、具体的に

  • 航空機の登録国(飛行機の所属国)
  • 着陸国(飛行機が着陸した国)
  • 容疑者の抑留国(犯人が捕まった国)
  • 航空機を借りている会社の本社がある国

これらの国のどこでも裁判ができるように定められています。

各国の義務って?

第9条では、締約国の義務を定めています。

その中には以下のような内容が含まれています。

  1. 航空機の不法な奪取や管理が行われそうな時、適法な機長に管理を戻すためのあらゆる措置をとること。
  2. 乗客や乗組員が速やかに旅行を継続できるよう便宜を図ること。

まとめ

今回も前回に引き続き、けっこう難しい内容だったのではないでしょうか?
大枠(ハーグ条約=ハイジャック処罰強化した)だけでも把握して置いたらいいかもしれません。

それでは、簡単にレビューしていきましょう!

ハーグ条約の重要ポイント7選

今回の記事では、ハーグ条約について以下の7つのポイントを解説しました:

  1. ハーグ条約の誕生背景
  2. ハイジャックの定義
  3. 重い罰則による抑止力
  4. 条約の適用範囲
  5. 裁判権の所在
  6. 締約国の義務

エアラインでは、ハイジャック訓練が初期訓練の項目には入ってないにのですが、副操縦士昇格訓練に入った後には、マニュアルの扱いも含めて十分な訓練を受けます。

また、機長昇格訓練では、機長の権限や安全阻害行為に対しての十分な理解と対応ができるかどうかを確認されます(ここ重要!)。

繰り返しにはなりますが、今回の内容のような法規は、パイロットの運航に密接にかかわってくるルールなので、私たちの安全を守るために不可欠となります。

訓練生の皆さんは、最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れてくるとしっかり理解できるようになりますよ!

次回は、「モントリオール条約」という新しい条約に関して紹介しようと思います。
1970年までのテロ行為が、ハイジャックや人質が主だったことが原因でハーグ条約ができたことを今回、説明してきましたが、
一方でこの条約は、1970 年代から 1980 年代に、テロ行為が爆弾によるものにシフトしてきたことから作成された条約です。

次回も少し難しいかもしれませんが、重要な条約なので、一緒に学んでいきましょう!

少しずつ、確実にパイロットへの道を進めていけるので、焦らずじっくり理解していきましょうね。

それでは、また、次回。Good Day!

補足説明
  • 東京条約:正式名称は「航空機内で行われた犯罪その他のある種の行為に関する条約」。1963年に採択された国際航空法の基礎となる条約です。
  • 批准:条約や協定などに対して、国家として正式に同意を与えることです。
  • 締結国:条約や協定に署名し、それを守ることを約束した国のことです。

最後に、皆さんからのコメントをお待ちしております。

記事の内容でわからないことがあれば、どんなことでもコメント欄に書き込んでくださいね。コンプライアンスに引っかからないように、できる限りお答えします。皆さんとの交流を通じて、私も一緒に成長していけたら嬉しいです。よろしくお願いします!

ぜひコメント欄で、皆さんの意見や疑問を共有してください!

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