【国試対策6】必見!10分で分かるモントリオール条約の全貌と重要性
スカイ教官
こんにちは。
前回は、第5回国試対策としてハーグ条約を取り上げましたね!
暁学生
1960年代後半のハイジャック事件が増えたことがハーグ条約のきっかけでしたよね!
南雲学生
でも、最近ではハイジャックってあんまり聞かないよなー
スカイ教官
そうですよね、今となってはあまり聞きなれないことだと思いますが、ハーグ条約が制定された当時は、ハイジャックが問題視されてたんでしたよね。

ただ、このハイジャックなんですが、時代とともに、さらに過激化して機内に爆弾を隠した「テロ行為」となっていったんです。。。
暁学生
テロ行為って、あろアメリカの同時多発テロとか?
でも、テロも日本で起きたって話はきいたことないわ。。
スカイ教官
確かに、日本国内で発生した最近のテロ事件はないんですが、実は、日本人や日本の権益がテロの標的となる事件は国外で発生しているんです。
私が小学生の時には、「地下鉄サリン事件」ってのがあったんですが、皆さんもどこかで聞いたことはありませんか!?

こんな中、このテロ行為、特に爆発物を使用したテロ行為に対して国際的なルールが必要になったんですね。
暁学生
また、新しい条約ですかぁ?
スカイ教官
ええ、
いままで、東京条約ハーグ条約とやってきましたが、今回は、これらでも対応できなかったために必要になった「モントリオール条約」に関してみていこうと思います!
戦後に制定された条約の紹介は、今回が最終回となります。

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みなさん、こんにちは!
スカイ先生です。訓練生の皆さん、楽しく飛んでいますか?

さて今回は、1971年に制定された「民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」、通称「モントリオール条約」について、その背景から重要ポイントまで、分かりやすく解説しようと思います。

モントリオール条約とは?その成立背景

モントリオール条約は、民間航空の安全を脅かす新たな脅威に対応するために制定されました。1970 年代は、それまでの東京条約やハーグ条約では十分に対処できない問題が発生していたのです。

この問題とは、、、

具体的には:

  • 爆発物を航空機に仕掛ける行為
  • 爆発物搭載の虚偽情報による航空機の航行妨害

などの不法行為が増加していたんですね。

特に、1970年2月にスイス航空機がチューリッヒ近郊で爆破された事件は、この条約に対する必要性に迫られたおおきなきっかけとなりました。

これらの行為は、乗客や乗員の生命を直接脅かすだけでなく、航空産業全体の信頼を揺るがす重大な問題でした。

そこで、1971年にカナダのモントリオールで開催された国際会議で、この条約が制定されたのです。日本も、その重要性を認識し、1974年にこの条約を批准していますよ。

モントリオール条約の主要ポイント

モントリオール条約の主な特徴は以下の通りです:

(第1条)適用される不法行為

第一条を具体的に見ていきましょう。一部分かりやすさのため、修正していますが原文はこちらから見ることができますので、参考にしてみてください。

モントリオール条約 第一条
  1. 飛行中の航空機内の人に対する暴力行為(航空機の安全を損なうおそれがあるものに限る)
  2. 業務中の航空機の破壊または飛行不能にする損害を与える行為
  3. 航空機を破壊する装置や物質を置く行為
  4. 航空施設の破壊、損傷、運用妨害
  5. 虚偽情報の通報による飛行中の航空機の安全阻害

第一条を簡単に要約すると、どんな行為が犯罪になるのかを具体的に書いているんですね。
例えば、航空機内での暴力行為や、航空機の破壊、危険物の設置なんかが含まれています。

モントリオール条約では、航空機の安全を脅かす様々な行為を幅広く定義し、犯罪として規定していることに大きな意義があります。
これにより、新たな脅威にも柔軟に対応できるようになりました。

(第3条)重い刑罰の義務付け

次は第三条です。

モントリオール条約 第三条
  1. 各締約国は、第一条に定める犯罪行為について重い刑罰を科することができるようにすることを約束する。

締約国に対して、第1条で定義された犯罪行為に重い刑罰を科すことを約束しています。「思い刑罰」、これにより、犯罪の抑止力を高めているんですね。

スカイ教官
重い刑罰を科すことを義務付けることで、犯罪の抑止力を高めている点が、このモントリオール条約の重要な意義なんですね!

(第4条)適用範囲

モントリオール条約 第四条

第一条に定める犯罪行為については、当該航空機の飛行が国際飛行であるか国内飛行であるかを問わず、次のいずれかの場合にのみ、適用する。

  1. 航空機の離着陸地が登録国外にある場合
  2. 犯罪行為が登録国以外で行われた場合

第4条では、条約の適用範囲を規定しています。主に国際線が対象ですが、状況によっては国内線にも適用されるって書いてありますね。

第四条には、「この条約は、軍隊、税関又は警察の役務に使用される航空機については適用しない。」という適用除外となる条件に関しても書いてあったりします。

(第5条)裁判権の設定

最後に第五条を見ていきましょう!

こちらも分かりやすさのため、一部を修正していますが原文はこちらから見ることができますので、参考にしてみてください。

モントリオール条約 第五条

締約国は、以下の場合に裁判権を設定します:

  1. 犯罪行為が自国領域内で行われた場合
  2. 犯罪行為が自国に登録された航空機に対して、またはその機内で行われた場合
  3. 犯罪行為が行われた航空機が、容疑者を乗せたまま自国領域内に着陸する場合

このように、第5条では、どの国が裁判権を持つかを決めています。
自国の領域内で起きた事件や、自国の航空機に関する事件なんかが対象になるんですね。

犯罪が行われた場所や航空機の登録国だけでなく、容疑者が着陸した国にも裁判権を与えることで、犯罪者の処罰を確実にしている点は、重要なポイントですね。

日本の対応

冒頭にも書きましたが、日本は1974年にこの条約を批准し、国内法を整備しました。

具体的には、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律(航空危険行為処罰法)を制定し、モントリオール条約で定められた犯罪行為を厳しく処罰することとしました。

これにより、日本の航空機や日本に乗り入れる外国の航空機の安全が、法的にも強く守られることになったのです。

モントリオール条約の課題と今後

モントリオール条約は、航空安全の向上に大きく貢献する一方で、いくつかの課題も残されています:

  1. 新たな脅威への対応: 技術の進歩に伴い、条約制定時には想定されなかった新たな脅威(例:サイバー攻撃)が出現しています。これらにどう対応するかが課題です。
  2. 国際テロリズムとの関連: 航空テロの手法が複雑化・巧妙化する中で、本条約の適用範囲をどこまで拡大すべきかという議論があります。
  3. 各国の法執行の差: 条約を批准していても、実際の法執行に国による差があることが指摘されています。

まとめ

はい、ここまで、モントリオール条約に関して解説してきました。今回も前回に引き続き、けっこう難しい内容だったのではないでしょうか?

それでは、今回の内容に関して簡単にレビューしましょう!

モントリオール条約のまとめ

目的
民間航空の安全を脅かす新たな不法行為への対応

主な特徴
• 航空機の安全を脅かす行為を包括的に犯罪化
• 締約国に重い刑罰を義務付け
• 国際的な裁判権の範囲を明確化

意義
• 国際協力の促進
• 犯罪抑止力の向上
• 確実な犯罪者処罰の実現

課題
• 新たな脅威(サイバー攻撃など)への対応
• 各国の法執行における差の解消

皆さん今回もいかがだったでしょうか?

国際情勢の先行きが危うい現在だからこそ、今後も国際ルールは制定され続けられなければいけなくなると思います。また、最近は、特にドローンが実用化されてきて、空の安全を脅かす事態が多く発生していることから、国際ルールの制定は急務となっています。

最近は、管制官からドローンのような飛行物体が飛んでいるレポートを受けたりします。民間旅客機と衝突したりすると甚大な被害をもたらすので、対策を講じる必要があるのです。


次回は、国際航空法規と日本の航空法規の関係について紹介する予定です。
少し難しい内容かもしれませんが、とっても基礎となる知識なので、一緒に学んでいきましょう!

少しずつ、確実にパイロットへの道を進めていけるので、焦らずじっくり理解していきましょうね。

それでは、次回もお楽しみに!

Good Day!

補足説明
  • 批准:国家が正式に条約を承認し、その効力を認めること。
  • 裁判権(裁判管轄権):ある事件や犯罪に対して、法的な判断を下す権限のことを指します。

みなさんからのコメントをお待ちしています。記事の内容で分からないことや、もっと詳しく知りたいことがあれば、どんなことでもコメント欄に書き込んでくださいね。コンプライアンスに配慮しつつ、できる限り丁寧にお答えします。

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