航空大学校卒が副操縦士になるまで|教える側から見た訓練のリアル

航空大学校卒が副操縦士になるまで|教える側から見た訓練のリアル

この記事で分かること

対象 航空大学校を受けようか考えている高校生・大学生(在学中の人も)
難易度 ★☆☆(進路を決める前に)
所要時間 約8分
読むと分かること 航空大学校を出たときに手にしているもの、そこから副操縦士としてラインに立つまでにもう一段ある訓練、そして訓練で実際に問われている力

はじめに

「航空大学校に受かれば、パイロットになれる」——調べはじめのころは、そんなふうに一本の線に見えていた、という人は少なくないと思います。

ところが検索を続けていると、少し様子が変わってきます。「航空大学校 やめとけ」「なれる確率」。並んだ言葉に、さっきまでの線がぼやける。進路の相談を受けるときも、この段階のざわつきはよく出てきます。

出てくる情報は、だいたい二つに割れています。入口の話(合格率・学費・偏差値)か、副操縦士という職業の話(年収・機長との違い)か。そのあいだ——入学してから、実際にラインの右席に座るまでに何が起きるのか——を通しで書いたものは、意外と見あたりません。

そのあいだの数年を、二段に分けて眺めてみます。航空大学校の課程と、会社に入ってからの訓練。才能があるかどうかを占うためではなく、いまから何を準備できるかを考えるための分け方です。

お伝えしておくと、私は航空大学校の卒業生ではありません。ただ、エアラインで働いていたころ、同期にも先輩にも後輩にも、航空大学校を出た人が何人もいました。訓練生を教える側にいたこともありますし、若い副操縦士の隣の席にも長く座ってきました。当事者の言葉ではありませんが、同じ会社で一緒に飛んで、隣で見て、聞いてきたことなら書けます。

西風
西風
受かることばかり考えていて、その先を考えたことがなかったです。

結論(先に一言)

航空大学校の卒業は、副操縦士としてのゴールではなく、事業用操縦士などの技能証明を手にして、会社の訓練に入るスタートラインです。

訓練を「航空大学校の課程」と「入社してからの型式の限定・路線訓練」の二段に分けると、それぞれで問われているものが違います。前半は操縦の基礎、後半は「その会社の、その機種で飛ぶ」ための作り込みです。

そしてもうひとつ。私が教える側で見てきた範囲では、この二段のどちらでも、差がついていたのは操縦のセンスではありませんでした。

二段構えというのは、並べるとこういう形です。

航空大学校の入学から4課程、卒業時の事業用操縦士と計器飛行証明、入社後の地上研修・型式関連の訓練・技能審査・路線訓練を経て副操縦士として乗務するまでを縦一本で示したロードマップ

▲ 卒業は道のりの中間地点。そこから会社の訓練が、もう一段あります。

航空大学校を出ると、何を持って社会に出るのか

航空大学校の飛行機操縦科は、四つの課程でできています。宮崎で学科、帯広で単発機、宮崎に戻ってまた単発機、最後に仙台で多発機。募集要項が示す教育期間は24か月、募集定員は108名です(令和9年度学生募集要項)。

在学中に受ける国家試験は、募集要項の費用の欄にはっきり書かれています。事業用操縦士計器飛行証明の二つです。日本の法律に「パイロット免許」という言葉はなく、正式には技能証明といいます(航空法第22条)。計器飛行証明のほうは技能証明とは別立ての「証明」で、こちらは第34条第1項。細かい話に見えますが、後半で出てくる「資格と任命は別」という話と地続きになっています。

⚠ 注意:無線の資格には課程ごとの期限がある

操縦の前に、無線にも期限があります。募集要項には、宮崎学科課程を修了するまでに「航空特殊無線技士」以上、その後の宮崎フライト課程を修了するまでに「航空無線通信士」がなければ退学、と書かれています。どちらも資格がない状態から直接受験できます。

南雲
南雲
操縦の話ばかり想像していました。無線で退学になることがあるんですね。
スカイ先生
スカイ先生
飛ぶ前から、無線はもう運航の一部なんだよ。……操縦を始める前でも、触れられるところではあるね。

どのくらいの試験なのか、という話も。私のころは、同期のあいだで「航空無線通信士は過去問をきちんとやれば一回で通る」という感覚がありました。ただ、それは同じ環境で計画的に勉強できる集団の中での実感です。総務省の統計にもとづく令和6年度の公表値では、航空無線通信士全体の合格率は42.7%、航空特殊無線技士は81.7%。航空通のほうは無線工学・法規・英語・電気通信術の四科目があって、試験も年2回(2月期・8月期)です。全体で見ると、それなりに骨のある試験ではあります。

資格の取得には課程ごとの期限がありますが、入学前から詰め込まないと間に合わない、という意味ではありません。入学してから取りかかる人も多いです。ただ、私のころと要件の置き方は変わっています。以前は帯広フライト課程に進むまでに航空通か航空特のどちらかがあればよかったのが、いまは航空特を先に、航空通をそのあとに、という二段構えです。受ける年度の募集要項では、資格の種類だけでなく、どの課程までに必要かも見ておくと落ち着きます。

いまから何か始めたい人がいるなら、フォネティックコード(欧文通話表。国際的にはRadiotelephony Spelling Alphabetと呼ばれます)を生活に持ち込むのはどうでしょう。私は訓練生のころ、目についた英単語をアルファ・ブラボー・チャーリーに置き換えて覚えていました。

進路として見るときの話も、ひとつ。航空大学校は学校教育法でいう「学校」ではないので、ここで履修した単位は、ほかの大学の単位としては認められません。大学に通ってから入る人が多いのは、そういう仕組みの上での話でもあります。

なお、学校案内には卒業時に得るライセンスとして陸上単発・陸上多発が挙がっていますが、2027年度版には「カリキュラムの変更により陸上単発ライセンスを取得しない場合があります」という但し書きも添えられています。限定の細かい組み合わせは、受ける年度の資料で確かめてください。

入学から卒業まで、実際は何年みておくのか

募集要項が示す教育期間は24か月。ただ、この数字は「24か月で必ず卒業できる」という予定表としては読めなくなっています。同じ募集要項に、学校自身がこう書いているからです——令和7年度の卒業生は、宮崎学科課程の授業開始から卒業まで3年半程度かかっていて、入学前や課程のあいだに自宅待機などの期間が発生している

規模の数字も公表されています。国土交通省航空局の検討会がまとめた資料では、令和6年度末の待機学生が161名、そして「待機の期間等」が一人あたり平均で475日(令和6年度に卒業した学生の平均)。ここでの「待機学生」は、年度末に入校している(すべき)学生の総数と所属定員(108名×2年)の差から出した数です。そして475日のほうは「入学前だけで475日待つ」という意味ではありません。入学前の待機と課程のあいだの待機を合わせた、遅れの結果として読む数字です。

航空大学校の制度上の教育期間24か月と、令和7年度卒業生が学科開始から卒業まで3年半程度かかった状況を対比し、待機学生161名と待機の期間等475日を注記した黒板図

▲ 「24か月」は制度の教育期間。実際に何年みておくかは、受ける年度の募集要項で確かめます。

原因は天候だけではない、とも整理されています。2018年度に年間定員を72人から108人へ増やしたときの事前の検証が十分ではなかったこと、2018年のエンジン不具合や2020〜2022年のコロナ禍による訓練の停止、そこに進捗への組織的な対応が追いついていなかったこと。この重なりだと書かれています。安全をおろそかにした、という整理ではありません。

対策は動いています。すでに実施されているものだけ挙げると——訓練1回あたりの飛行時間を増やす標準訓練時間の設定(2025年4月から全課程)、訓練機の増機(帯広は2024年度末の12機から2025年8月に15機、宮崎は17機とする計画)、教官の任用訓練を6か月から3か月へ短縮、帯広で夏の濃霧を避けて午前の開始を2時間遅らせる運用、実機訓練時間の195時間から187時間への見直し、入学前と課程のあいだの遠隔教育。いっぽう、土日のフライトや外部の養成施設の活用、カリキュラムの抜本的な見直しは、2026年4月から始まった第6期中期目標に「取り組むべき施策」として書かれている段階です。方針として決まっていることと、もう回っていることは、分けて見ておきたいところです。

待つあいだに何が起きるのか、という話も。パイロットには「最近の飛行経験」という決まりがあって(航空法第69条)、一定の期間内に飛んでいないと乗務できません。飛ぶ間隔があくこと自体が、技量の面でも計画の面でも扱いにくいんですね。私は訓練の計画を作る側にいたこともあるので、待機が延びたときの組み直しの重さは身にしみています。訓練の初期は、実際に飛ぶ時間の三倍くらい準備にかかることも珍しくなくて、そこに待機が重なると、準備だけが積み上がっていく感じになります。

ただ、裏返せば準備に時間を割ける期間でもあります。同期とイメージトレーニングをしてみる、市販のフライトシミュレーターで遊んでみる、同じ部屋の仲間と山に登ったり体を動かしたりする。そのどれも、あとでパイロットとしてやることと無関係ではありません。学生数が増えたぶん同期の数も増えていて、同期が多いということは、安全にまつわる話や失敗の情報がそれだけ集まるということでもあります。

暁
……思っていたより、重い話ですね。
スカイ先生
スカイ先生
うん。ただ、待機の長さだけを一つの数字で決めつけずに読みたいね。受ける年の資料も、見ておきたいところだ。

待機とのつきあいは、航空大学校で終わるものでもありません。会社に入ってからも、地上研修や訓練の順番待ちという形で同じ問題が顔を出します。ルートそのものを比べたい人は、「航空大学校・私大操縦学科・自社養成の違いを比較|費用・期間・入口で選ぶ進路」(#19)のほうで費用と期間を並べています。

会社に入ってからが、副操縦士になる最後の道のり

情報がいちばん少ないのが、たぶんこの区間です。

少し意外かもしれない事実から。航空法に「副操縦士」という言葉は出てきません。 技能証明を定めた第4章にも、航空機の運航を定めた第6章にも、航空運送事業を定めた第7章にも出てきません。法律が使うのは「操縦者」「航空機乗組員」、そして責任を負う立場としての「機長」です。

では副操縦士はどこにいるかというと、会社の側です。国土交通省の「運航規程審査要領」には、機長・副操縦士・客室乗務員といった職務に応じて訓練と技能審査の方法を定めるように、と書かれています。この運航規程は、航空法第104条第1項で国の認可を受けることになっているものです。

つまり、道のりは二本の線で進みます。

  • 資格の線:技能証明(第22条)を土台に、乗る機種について型式の限定(第25条)を受ける。限定された範囲を超えた業務はできません(第28条)。
  • 会社の線:認可を受けた運航規程にもとづいて訓練を受け、技能審査と副操縦士の任用審査を通る。

副操縦士になるまでを、法令・技能証明の線(第22条・第34条第1項・第25条)と、航空会社の訓練・任用の線(入社から乗務まで)の二層に分けて示した対応図

▲ 法令の要件と会社の任用は、別の線。両方そろって、はじめて乗務につながります。

航空大学校を出た時点で持っているのは、前者の入口までです。「事業用操縦士の技能証明がある」ことと、「この会社の、この機種で、副操縦士としてラインに出られる」ことは、制度としては別の層にあります。

迷いやすいのは、この二つが同じ言葉で語られがちなところです。制度に根拠があってどこでも通じるのは、技能証明・型式の限定・限定変更・実地試験・運航規程・技能審査・副操縦士の任用審査・定期訓練・定期審査といったあたり。いっぽう「導入教育」「地上研修」「座学」「実機訓練」「ラインチェック」などは現場で広く使われますが、全国共通の制度名ではなく、会社の規程や時期で中身も名前も変わります。調べていて呼び名が食い違っても、自分の理解がずれているせいとはかぎりません。二人で操縦する機種では、条件を満たせば模擬飛行装置だけで実地試験を行う運用もあるので、「必ず実機で試験」という形でもありません。

そして期間です。ここで手に入るのは、ぴったり何年という答えより、見つけた数字の読み方のほうかもしれません。公表されている数字が、そもそも割れているからです。

出どころ 数字 何を測ったものか
国土交通省「羽田空港のこれから」パイロットの取組み 2〜4年 起点がページに書かれていない
航空局「乗員政策等に係る検討について」(2013年12月) 副操縦士任命まで約35か月 自社養成の操縦訓練開始が起点。航空大学校卒の「入社から」ではない
航空大学校の学校案内 入社から2〜3年(地上研修は通常半年程度) 航空大学校卒を対象にした案内

表は横にスクロールできます。

同じものを測った三つではないので、平均を出しても行き先が見えません。会社、採用の年度、地上配置の有無、訓練の待機、担当する機種、そのときの制度。別の数字に出会ったときは、どこからどこまでを数えた数字かを先に見る。そのほうが、違いを読み分けやすくなります。

私が見てきた範囲の話も足しておきます。技能証明を持って入社した人は、まず操縦以外の職種で地上の研修を受けます。学校案内が「通常は半年程度」と書いているのがこれで、私の周りでは1年、長いときで2年になる人もいました。そのあとの副操縦士訓練が、だいたい1年半。中身は、学科の訓練、フライトシミュレーターを使った訓練、実際の便に乗る路線訓練、という順で進みます(この順序は各社の募集要項でも公表されていますが、どこに何か月かけるかは会社と機種でずいぶん違います)。

そうやって数えると、航空大学校の卒業から3〜4年くらいかけて副操縦士になっている人が多い、というのが私の実感です。学校案内の「入社から2〜3年」と食い違って見えるかもしれませんが、卒業してすぐ入社とはかぎらないぶん、起点が違うだけだと思います。

同じ年に入った同期でも、訓練に入る順番はそろいません。会社の都合で先に始まる人と、待つ人が出ます。これは公表資料で確かめられた話ではなく、私の周りで見てきたことです。待つ時間に何をしておくか——この問いは、航空大学校を出たあともついてきます。

訓練で一番きついのは、操縦そのものではない

見出しに「操縦そのものではない」と書きましたが、操縦がやさしいという意味ではありません。決められた進度のなかで準備を積み、ミスを扱い、次の訓練へつなげていく。その切り替えのほうに、私はいちばん手こずりました。

航空大学校でも会社の訓練でも、進み方を自分で決めることはできません。カリキュラムが決めた進度に合わせて、決められた課程を、決められた期間で通していきます。座学のあとの飛行訓練では、全体の流れに加えて細かい操作も見られ、どこか一つが足りなければ試験は通りません。

苦労したのは、そこでした。操縦の難しさではなくて、学生のやり方が、ある日から通用しなくなることです。

学生のころは、徹夜で詰め込んで、落としても再試験があって、一部が悪くても全体で帳尻が合えばよかった。訓練はそうではありませんでした。カリキュラムどおりに確実に進めること、一度したミスを二度としないこと。それをいきなり求められて、落ち込むこともありました。

求められていたのは、技術より先に立場だったのだと思います。訓練が始まった日から、もうパイロットとしての一日目が始まっている。極端に言えば、飛行機の中で自分以外が動けなくなって、その機体を自分ひとりで安全に降ろす場面もありえます。その重さが訓練のひとつひとつに重なっているのだと、少しずつ分かってきました。会社に入って新入社員として仕事を覚えていくのとは、入口の形がずいぶん違いました。

いま振り返ると、苦労らしい苦労はそこまでなかったのかもしれません。ただ、あのころは自分だけがうまくいっていない気がしていた、というのは覚えています。

西風
西風
……自分だけじゃない、ってことですか。
スカイ先生
スカイ先生
最初は、そう見えるんだよね。同期も先輩も、たいてい同じところで一度止まっている。

「操縦の才能がないと落ちるのでは」という不安は、この段階の人からよく聞きます。ただ、教える側で見てきた範囲では、足踏みしていた人の多くは操縦そのものではなく、この切り替えのところで止まっていました。

伸びる人と伸び悩む人は、どこで分かれるのか

教える側から見ていて、訓練が前に進みやすい回には、似た動きがありました。

教わったことを、次の回で実際に試してみること。細かい変化を書き留めておくこと。自分の進み具合を、自分の言葉で言えること。そして——これがいちばん大きかったのですが——まだ整理しきれていない段階の考えを、同期や教官に話してみることです。

逆に足踏みしやすかったのは、一人で考えをまとめてから相談しよう、としているうちに次の訓練が来てしまう場面でした。一人でやりきる力が弱いわけではありません。むしろその力がある人ほど、訓練では抱えたまま進みやすいように見えました。手元の整理が追いつかなくなっているときも、同じところで止まりがちでした。

なぜ情報の共有なのか、という理由ははっきりしています。安全は、一人では作れないからです。飛行機の安全は、コックピットの二人だけでなく、整備士や客室乗務員も含めた輪で作られています。パイロットに求められるのは、その輪の中で動ける力です。この考え方は、業界ではCRM(クルー・リソース・マネジメント)という形で訓練に組み込まれていて、国際民間航空機関(ICAO)も各国にその習得を求めています。

訓練が前に進むときの循環を、準備を言葉にする・迷いを早めに共有する・操縦に余力が残る・指摘を次の準備に入れる、の4段で示した黒板図

▲ 回っているのは才能ではなく、準備を言葉にして共有し、次へ渡すやり方のほうでした。

操縦の技術そのものは、航空大学校なら航空大学校の中で、きちんと学べるようにできています。そのうえでエアラインに出ると、二人で飛ぶ形になる。機長と副操縦士が組んで一機を動かすので、そこから先はやりとりの質が出ます。

もう少し具体的に言うと、規程をどこまで自分の言葉で理解しているか。過去のヒヤリハットに対して、自分なりの手を持っているか。そしてそれを、同期や先輩と話してきたか。実際の運航でものを言ったのは、たいていこのあたりでした。一人で頭を抱えて解けるほど単純なものでは、なかったのだと思います。

南雲
南雲
じゃあ、操縦がうまいかどうかは……。
スカイ先生
スカイ先生
もちろん見ているよ。ただ、操縦は訓練で伸ばす前提のものだからね。伸ばし方のほうに差が出る、というほうが近いかな。

今日からできる準備

ここまで読んで、「じゃあ今の自分は何を」と思った人もいるかもしれません。私がいちばん、あとから効いたと思っているのは、準備のしかたのほうでした。

訓練の前にどれだけ準備できるかで、その日の訓練の中身がまるで変わります。上空では飛行機がどんどん前に進んでいくので、準備でやっていないことは、その場では出てきません。パイロットがコックピットのポスターを壁に貼って、目線の動き、手の動き、話す言葉を秒単位でイメージしているのは、そのためです。

私の場合、時間を増やすより、睡眠を削らずに次の訓練の流れを一度通しておくほうが、当日の頭が動きました。当たり前のようですが、寝不足のまま準備を重ねて、一度つまずいています。

いまの生活で試すなら、勉強でも部活でもかまわないと思います。次の一回の前に、流れを頭の中で最後まで通してみる。私には、それが訓練の準備に近い練習になっていました。

航空大学校を受けると決めているなら、手が届く準備がもうひとつあります。さきほどの無線の資格です。航空特殊無線技士も航空無線通信士も、資格がない状態から直接受験できます。募集要項が入学までの取得を推奨しているくらいなので、入学後に追われるより、いまのうちに一つ持っておくほうが落ち着いて始められそうです。

無線のように試験の日付が決まっているものもあれば、日々の習慣として積んでいくものもあります。今週から手をつけられそうなものを、並べておきます。

進路の全体像・無線資格の試験日・準備の言語化・30秒のイメージ・情報共有の型・睡眠の記録を並べた、今週から始める準備のチェックリスト

▲ どれか一つでかまいません。今週始めるものを決めるところからです。

まとめ

今日のポイントを、もう一度だけ。

この記事の要点

  • 航空大学校の卒業は、事業用操縦士などの技能証明を手にして、会社の訓練に入るスタートライン
  • 「技能証明・型式の限定」(法律の側)と「運航規程にもとづく訓練・副操縦士の任用審査」(会社の側)は別の層にある。航空法に「副操縦士」という言葉は出てこない。
  • 「副操縦士まで何年」の公表値は割れている。起点が違うので、平均ではなく幅とその理由で見る。
  • 教える側から見て差がついていたのは、操縦のセンスより準備のしかたと、情報の共有のしかた

次の一回の前に、流れを頭の中で最後まで通してみる。今日なら、どの場面で試せそうですか?

Twitter(@ASK_PILOT_ASAP)、TikTok(@tobuzo30000ft)、BLOG(コックピットの記憶)

eVTOL時代ではどう変わるか

少し先の話も。いま実用化が進んでいるeVTOL(電動垂直離着陸機)でも、いまのところ「eVTOL専用の免許を新しく作る」という形にはなっていません。米国では既存の技能証明に追加の訓練と型式の限定を重ねる整理で、日本でも専用の資格は検討の段階にあります(制度の現在地は「eVTOLパイロットになるには」(#7)で扱っています)。

ここまで見てきた二段構え——技能証明という土台があって、その上に「その機体で飛ぶための限定」と「その会社で飛ぶための訓練」が乗る——という形そのものは、当面あまり変わらなさそうです。土台のほうを先に厚くしておくと、機体が変わっても持ち出せるものが残る、という見方もできます。

30秒クイズ・考える問い

頭の整理を兼ねて一問。

Q. 航空大学校を卒業した時点で持っているのは何で、旅客機の副操縦士としてラインに出るには、あと何が要るでしょう?

答えを見る 卒業時点で受けるのは、**事業用操縦士の技能証明**と**計器飛行証明**(募集要項の費用の欄に、この二つの国家試験受験費用が挙げられています)。そこから、乗る機種についての**型式の限定**(航空法第25条)と、会社が認可を受けた運航規程にもとづく訓練・技能審査・**副操縦士の任用審査**を経て、はじめてラインの右席に座ります。

考える問い:次の一回の勉強や練習の前に、あなたがいちばんイメージしておきたい場面はどこですか?

次に読む・関連記事

次の一歩は、ルートそのものを比べるところから。

  • 次に読む:「航空大学校・私大操縦学科・自社養成の違いを比較|費用・期間・入口で選ぶ進路」(#19):費用と期間を並べて、どのルートが自分に向くかを考える
  • 関連:「自家用・事業用・定期運送用操縦士の違いとは?資格の階段を整理」(#3):ここで出てきた「技能証明」の全体像
  • 関連:「自社養成パイロットになるには|ANA・JAL・LCCの応募資格・時期・訓練を比較」(#103):航空大学校以外の入り口から見たとき

スカイ先生(朝霧)プロフィール

本ブログは、10年間のパイロット経験を積み重ねてきた筆者が、「誰でも飛べる」をモットーに将来パイロットになりたい学生に向けて発信しています。

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